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“書の可能性を追求したアート表現” 田中岳舟インタビュー


今回の作家インタビューは田中岳舟さんです。 
田中さんの作品は書を基盤としたアートです。書をやっているからこその線質、墨の表す様々な表情(模様)には思わず見入ってしまう不思議な魅力があります。 
今回は、書について、アートについて、そしてご自身の作品について聞かせていただきました。

“書の可能性を追求したアート表現” 田中岳舟インタビュー

菱田篤司

May 28, 2020


ー書道はいつから始めたのですか
元々左利きだったので、それを治すために幼児期に書き方教室に通っていたんですけど、それをきっかけに7歳くらいから始めました。

ー今も左利きのままなのですか。
書くのは右ですけど、それ以外は左です。

ーそれであれだけ上手く書けるものなのですね(笑)
たくさん書けばみんな上手くなると思います(笑)

ー7歳から初めて、今までずっと続けてるのですか。
ずっとです。

ー元々は(今でも)書道をやられていて、今はアート作品も創られているわけですけど、それはいつ頃から始めたのですか。 
元々多字数書の先生に付いていて、漢字の作品しか知らなかったのですが、ある時展覧会で「前衛書」と出会って、こんなのもあるんだと衝撃を受けました。それで自分でもやってみたいなと思ったのがきっかけですね。共感するものがあったんでしょうね。それが大学生の頃、20歳過ぎだったと思います。

ー今でもインスタ等で書の作品をアップしてますけど、毎日の日課のように書を書いているのですか。 
そうですね。作品について考えている日は書きませんが。

>田中さんのInstagram

ー凄いですね。その原動力って何ですか。
前衛書を見て以降、書により一層興味を持ったんですが、自分なりに学んでいく中で、書の奥深さや面白さに改めて気づかされる訳です。でもそれと同時に、自分は今まで書を全然やってこれてなかったということにも気づきました。特に自分は書の学校に行ってなかったし、同世代のエリートの人達との差はすごく感じていましたね。まずはそこに追いつかないと、と思ったのが原動力になったのかもしれませんね。
今は色々とやることが出てきたので、自然と毎日何かしら取り組んでいます。

ー以前田中さんにお話を伺った時に、書とアートは別に考えていて、今の作品はアートであって書ではないとおっしゃっていましたが
アートというか、書から成るものであって書ではないという感じの事を言ったと思います。

ー例えば前衛書の作家さんなどは文字性がなくても書なんだと考えていると思いますが、それとは違うのですか。
それは人それぞれ解釈の違いがあるんだと思います。何を書とするかにもよるんでしょうね。
元々自分は、書は古典に立脚したものであって、文字であって、という考えが強かったので、書とは繋がってるけど書とは言えないだろうという思いがあったんでしょうね。


ー現在の田中さんの作品についてですが、書が進化したものではなくて、書とは分けたものなんですかね。つまり進化系ではなく別物なんですか。 
う〜ん。書の要素を持ちながら波及していくというか、上に進化していっているというよりは 横に広がっていってるっていう感じじゃないかな。書には色んな要素があるじゃないですか。書くことだけじゃなくて、精神性のものでもあるし。その色んな要素が入っている書の可能性の追求のような感じですかね。

ー田中さんとしては作品を作るにあたって、書家というスタンスではなくアーティストっていうスタンスの方が強いのですか。 
う〜ん。書家ってなんか恐れ多いですよね(笑) 書家って凄い高い位置にあるもので軽々しく言っていいものなのかなって思ってしまうんです。気にしすぎなのかもしれないけど。

ー私から見ると田中さんの書はかなり上手いと感じるんですがね(笑) 田中さんの(アート)作品は線と幾何学模様で表現されているものが多いですが、それらは何を表しているのかを教えてください。 
このシリーズは、テクノロジーを表した幾何学的なものに対して、自然性が高い芸術である書の表現を組み合わせることにより、テクノロジーが人や社会と一体化しているところを表現しています。
ちょうどこれ(作風)を考え始めたときは、テクノロジー(5GやAIなどを中心に)が凄い取り沙汰された時期でした。それでテクノロジー化が急速に進むというか、もう既に生活の中にかなり混在しているんですけど、今後は更にそれが進んでいくという、世界の急激な変化みたいなものを目の当たりにするのではないかという思いがありました。
自分は福岡の田舎に住んでいるけど、今の時代、既にどんなところに住んでいても大概テクノロジーは混在しているわけです。どこに行ったとしてもテクノロジーからは逃げられない。テクノロジーとの一体化が人にとって自然になるであろうという状況下で、書から成る表現としてどうするのか考えていきたいですね。

田中岳舟 心『心』

田中岳舟 超『超』

ーそのような作品は、現在のそういう状況を描写しているのか、それとも何かしらメッセージ性を持っているのでしょうか
メッセージっていうよりかは、現代の表現としてどういうことができるかなっていう可能性の追求の部分が今は大きいですね。

ー現代アートはコンセプト重視のものも多いですが、田中さんが作品作りにおいて重視していることは? 
もちろんコンセプトも重要ですが、まず作品自体を見て何か感じてもらえるようなものをつくりたいとは思いますね。

ー作品作りにおいて造形は重視しますか。
そうですね。

ー線はどうですか。
もちろん重視しますね。

ー田中さんの作品は、書をやっているからというか、書をやってないとできない表現方法だと思うのですが、アート作品を作る上でも書の要素は大事にされているのですか。 
やはり基盤は書です。そうでなければ自分は何もできないので。
臨書にしてもそうなんですけど、臨書は型を吸収する事以外にも、 精神面で鍛えられるという事もあると思うんです。
現代では次々と新しい情報が様々なところから簡単に仕入れられて、それをポンポン吸収できるんですけど、古典っていう変わらない手本を、みんな昔からずーっと一生懸命向き合って、これはどうだあれはどうだって色んな発見をしながら書いてきた訳じゃないですか。書というカラフルでもないモノクロでシンプルな世界の中から色んな要素を見つけ出して、気づきを得ながら自分の表現に繋げていく訳です。それって凄い修行になると思うんです。なので型を得るという行為だけじゃなくて、精神性の面でも色々鍛えられるんじゃないかと思って臨書をずっと続けているんです。そういうのってやっぱ自分が作品をつくっていく為にも大事なことだと思うんですよね。

ー古典の話が出ましたけど、中国の書家で影響を受けた人はいますか。
ベタかもしれませんが王羲之ですかね。でも古典はどれも発見があって面白いので、その都度その都度それぞれの古典から影響を受けていると思います。

ー現代アートで好きな作家を教えてもらえますか。
最近はフランク・ステラですね。
今、作品をレリーフ化とか立体化しようと思っていて、結構それがフランク・ステラの影響というか。一昨年にNYに行った時に、フランク・ステラのすごく大きな作品がオフィスビルのロビーに飾ってあったんです。たまたま散歩している時にそれを見つけたんですけど、凄いそれが印象的で。

ー今の作風で立体化ってどういう風にしていくのですか。書の立体化っていうと例えば紙をクシャ クシャにして立体化している人もいれば、紫舟さんみたいに書を金属化したりするものもありますが。 
書の線を立体化したいと思ったこともあるんですが、やっぱり書線の生の感じが出ないというか、紙に書かれたものがそのまま立体化される訳じゃないじゃないですか。それに引っかかったところがあってやりませんでした。
立体化していくってことは支持体を変形することになっていくと思うんですけど、書って書かれていない白の余白の部分はまっさらな空間な訳ですよね。そして立体化するということは、そのまっさらな空間をいじるということなので、何かすごく違和感があるんですよ。「空間」と「書かれたもの」の関係では無く、(書かれた部分のみが)一つの個体としての作品のようになってしまうので。
だけどそんなこと言ってたら立体化はできないので色々と考えた結果、その空間というのを造形してみたらどうかなって考えになったんですよね。実際空間って、まっさらなものだけではないと思うし、空間について考えることでまた何かしら発見があるような気もするし。まぁこのシリーズに関しては、ぼちぼちやっていけたらなと思います。


ーなるほど。田中さんの作品は墨の表現にもかなりこだわっていて、凄く面白いと思うんですけど、紙などの素材や墨の配分によってどのような表情を表すとか結構研究をしているのですか。 
自分が表現したいと思う感じになればいいなと思ってますね。墨や紙を研究している人はたくさんいますよ。その人たちと同じプロセスだと思います。みんなこだわっていると思いますよ、そこは。

ー以前そこは企業秘密だと言っていましたが。
(笑)でもだいたい見たらわかりますよ。墨を使う人は。

田中岳舟 行方 心

『2020年1月 黒極展にて』

ー毛細血管が入っているように見えたり、顔があるように見えたり、偶然性もあるのかもしれないですが、線も意識しつつ、模様も意識する訳ですよね。何度も繰り返して納得するものを作って いくというプロセスでしょうか。 
基本的にはそうですね。なんというか、偶然性を求めているときは 一回の時もありますし、自分が思った表現をしたい時は納得いくまで描く感じですかね。

田中岳舟 行方『行方』

ー最近インスタであげている作品はしぶきが多い気がしますが、その辺は感情の変化とかあるのですか。
う〜ん。そうですね、今度あげる作品もそんな感じです。

ーコロナの影響とか?
それもあるでしょうね。

ー爆発したい鬱憤がたまってるとか?
そうかもしれませんね(笑) 冷静ではいられないところがあるんでしょうね。

ー海外の展覧会等にも出品されたりしていますが、国内外含めて今後の活動の展開というかどういう風にやっていきたいと思っていますか。
無人島でやりたいです(笑)
海外でももっとやってみたいですね。コロナの影響でいろいろと状況が変わるかもしれませんが。
展覧会等での展示ができないから、とりあえず今はSNSとかで発表していくしかないのかな。

ー無人島というのは本気ですか?(笑)
今のところ冗談です(笑)

ーこれからも作品制作を中心に生活を考えていくということですね。
そうですね。やっていくことは今までと変わらないですね。

 

【後記】
インタビューを読んでいただいておわかりだと思うが、田中さんは日々実直に修行のように技術を磨き、書の可能性を追求しながら作品制作に取り組んでいるアーティストである。話していて感じることは、作品はアート作品なのだが、書に対する熱意と愛情が非常に強いということ。書を基盤とする確かな技術と、独自の感性による表現は、書好きにもアート好きにも受け入れられる稀有な存在なのではないかと思う。これから取り組んでいくという立体作品も非常に楽しみである。

 

>田中岳舟作品一覧

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