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"書と墨象の魅力について" 市川翠峰インタビュー


作家インタビュー4回目は、市川翠峰さんです。市川さんは書家であり、墨象作家でもあります。市川さんの作品の特徴は書であれ、墨象であれ「美」を追求しているところだと感じます。書と墨象のそれぞれの魅力、こだわり等について興味深い話をお聞きしました。


※墨象=墨を用いた造形の美を追究する芸術表現

"書と墨象の魅力について" 市川翠峰インタビュー

菱田篤司

November 05, 2019


ーまず簡単に自己紹介、プロフィールをお願いします。

市川 翠峰と申します。
両親が書道に親しんでいた為、生まれた時から墨のある環境にて育ちました。
幼少期は、書道(習字)以外は野球や虫とりなど外で遊ぶ事が好きな子供でした。
基本を大切にしながらも、様々な手法にて書の可能性を常にもとめています。

ープロフィールに芸能事務所タイタンのコミュニケーションカレッジ「タイタンの学校書道講師とありますが、どのような方にどのような指導をされているのでしょうか。

タイタンの学校は、「自分の可能性を探すこと、見つけること、挑戦する学校」です。
芸能事務所タイタン所属を目指す芸人コースの方、沢山の講義から学びとヒントを得る為に入校された一般コースの2つのコースの方々に書道の講義をさせていただいております。
内容は、毎回私が考えたお題にて、書に向き合っていただいています。
書の基本から、集中力、考える力を養う講義をお届けしています。

ーなるほど。以前受講生全員分のお手本を全て手書きされていると聞いて、そのスタンスに感心したのですが、そこまでする理由というかお考えを教えていただけますか。

SNSの普及や電子メモ等、簡単に削除・修正ができる便利な時代になりましたが、あえて手書きの重要性、書の魅力をお伝えさせていただいてる私がプリントをお配りするという事は、相反する行為だと思うんです。
心を込めて1枚1枚書く事で、その方だけのお手本になる。
そこに手書きのあたたかみ、心をお伝えできると思っています。

ーその心意気が素晴らしいですね。受講する方は幸せだと思います。
 ところで、市川さんが大きな影響を受けた書家や好きな書家はいますか。

大変失礼な答えかもしれませんが、特別いらっしゃらないんです。
私自身、良いと思ったり感動したりする物事に対して固定概念を持たない性格なのかもしれません。
私は、書以外のアートも沢山観にいくのですが、素敵な作品だと思うものには本当に素直に感動します。

ーいないのですね…
 では、自己表現の方法として、書や墨象を選択した理由は何だったのでしょうか。また、市川さんが感動する作品というのはどのような作品か教えていただけますか。

書は元々の字体があり、それにオリジナリティーを加えて初めて習字から書道に変わると思っています。
例えば、架空の物を生み出す事は自由ですが、書道のように、あえて縛りのある中で個性を磨く事に魅力を感じています。
また、墨象に関しても私の中には常に"字"がベースにあります。
文字性を排除しながら、"字"をイメージした作品をつくる。
これが私の墨象に対する考えであり、魅力を感じています。
感動する作品は、見た瞬間・聴いた瞬間に心が震えるような衝動を感じる作品です。
それは、書のみならず、音楽や絵画など様々な分野において、心に響いた時に私は、アートになると思います。

ー確かに縛りがある方が面白味があるというのはわかる気がします。厳しいルールのあるスポーツしかり、HipHopのライムしかり。
「心に響いた時にアートになる」というのも同感ですね。
墨象の「字」がベースにあるという点についてもう少し詳しく説明していただいてもよろしいですか。例えば「花」であれば、植物の花ではなく、「花」という文字の形からイメージするということでしょうか。

例えば、道端にきれいな花が咲いてたとして、それを墨象にて表現したいという衝動に駆られたら、必ず私の場合は文字から抽象的なものへと変化していきます。
それは意識してそうなるわけではなく、私の根本には常に文字があり、私のフィルターを通した際には文字は切り離せないのです。
文字は、具象でも抽象でもあると私は思っています。

ーう〜ん…かなりわかりにくです(笑)

そうですね。
分かりづらいですよね・・・
たとえば、これは私なりの解釈なので人それぞれ異なると思ってください。
道端に花が咲いてました。
それを絵にしたとしましょう。
画家さんは姿かたちから絵にすると思います。
でも私は、姿かたちから花という字が思い浮かび絵にします。
つまり全く同じ絵を書いたとしても、姿かたちから絵にしたものと、字を思い浮かべて絵にしたものとは全く異なるということです。
少しでもイメージが湧けば幸いです。

ーなんとなくわかった気がします(笑)
 一度頭の中で「字」というプロセスを経ることで、その結果としての「絵」は花そのものの形とは全く違うものになるということですかね。
ところで、市川さんは書と墨象の両方をやられますが、書、墨象それぞれでしか表現できないこと、またそれぞれの魅力について教えてもらえますか。


書は、誤字脱字が許されませんので、決まりのある中で表現していきます。
それは、書ならではのものですので墨象では表現できませんよね。
"自分の色"をいかに出せるか、字体・余白・流れ・キレ・呼吸、など追求していくことが尽きないところに魅力を感じます。
墨象は、限りなく決まりを排除した中で表現をする。
これは、書とは全く異なる点で決まりのある書では表現することは不可能です。
墨象の魅力は、自分の心を映し出す鏡のようなものであり、その時・その日の気分でさえ作品は変化します。
その未知の部分に魅力を感じます。

ー市川さんの書に関しては、一目で市川さんの書体だということがわかりますので、確かに”市川さんの色”というのは出ていますよね。
墨象についてですが、以前、市川さんの墨象は偶然ではなく必然だとおっしゃっていましたが、かなり実験されているとか?

私の場合、「こういうのを書こう。」と思って作品創りを始めても、結局途中でイメージが霞んでしまうんです。
散歩したり、夜空を見上げたりしている時にふとイメージがおりてくるんです。
それをどこまで写し出す事ができるか自分との勝負になってきます。
最初から明確なイメージが頭の中にあるわけですから、出来上がってくる作品は必然となるわけです。
イメージに近づけるために最も適した料紙と墨が必須となります。
墨も料紙により当然表情が変わりますから、独自の墨を創り上げていくわけです。

市川翠峰

ー自分の中のイメージを忠実に再現するには、紙質や墨の配合を理解している必要がありますからね。そのためには色々と実験が必要になってくるわけですね。
当ギャラリーに出展していただいている「深響」や「共鳴」の素材欄を見れば、複数の墨と紙、それ以外の塗料を使われていて、そのこだわり様がよく分かります。またこの二点はアクリルや塩化ビニールも使われていますが、紙とは違う素材を使用した意図を教えていただけますか。

市川翠峰 深響 墨画 "深響"

市川翠峰 共鳴 墨画 黒棘"共鳴"


規定のある場合は、それに準ずる中で最高のパフォーマンスをしなければなりません。
それはスペシャリストとしての技術を磨く為には欠かせない事であり、常に私も反復しています。
逆に、規定のない中では、自身のビジョンにどこまで近づけられるかが勝負になります。
墨・顔料・顔彩・和紙・画仙紙・宣紙のみでは、再現出来ない境地があるわけです。
あるミュージシャンがおっしゃっていた言葉ですが、自分の頭の中にある音がないから曲を創れないと。
凄く共感するんです。
私も、自分の頭の中に降りてきたビジョンを再現する為に、常に材料を探しているんです。
深響・共鳴の素材は、再現する為に必要不可欠だったというわけです。

ーなるほど。墨象の作品は市川さんの頭の中のイメージを具現化したものなのですね。字から絵になっていることも含めて、そういった視点で作品を改めて見ると面白いですね。
今後の展望についてお聞きしたいのですが、書家、墨象作家としてどうなっていきたい、また、どのような作品を創っていきたいかというようなビジョンがあったら教えていただきたいのですが。

今も国内外、様々なジャンルのアーティストの方々と交流をさせて頂いているのですが、もっともっと"書道・墨象"というものを沢山の方に見て頂き、興味を持って頂けたらと思っています。
その為には、より沢山のオファーをいただけるよう、書家として墨象家として精進してまいりたいと思います。
作品に関しては、常に新たな可能性を追求していきたいと思っています。

ー本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

【後記】
インタビューをお読みいただいてすでにお分かりだと思うが、頭の中のイメージを具現化するためのこだわりには脱帽するものがある。以前、墨やその他の塗料の配合や素材を日々実験しているという熱い話を聞いたときは、アーティストでもあるが、化学者のようにも感じた。そしてロマンティストでもあり、現実主義でもある。そこが市川さん本人の、そして作品の魅力であると感じる。
インタビューを読んでいただいた方にもう一度作品を見て欲しい。きっと見えなかったものが見えてくると思う。

市川翠峰作品一覧

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